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翁草
十九
新帝践祚之事寛永廿年、女主〈◯明正〉御治世既に十三年に及ければ、御位お下させ玉ひ可然と公家武家ともに思召に仍て、九月下旬に、江戸より御使として、酒井讃岐守忠勝、松平伊豆守信綱上洛、十月三日、女主御譲位有て新院へ行幸、同廿一日、御弟紹仁親王〈◯後光明〉即位し給ふ、