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つれ〴〵草

御国ゆづりの節会おこなはれて、剣璽内侍所わたし奉らるヽほどこそ、かぎりなう心ぼそけれ、新院〈◯花園〉のおりいさせ給ての春よませたまひけるとかや、
 殿もりのとものみやつこよそにしてはらはぬ庭に花ぞちりしく、今の世のことしげきにまぎれて、院にはまいる人もなきぞさびしげなる、かヽるおりにぞ、人のこヽろもあらはれぬべき、