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増鏡
十老の波
弘安八年、〈◯中略〉ことし北山の准后〈◯藤原実氏妻貞子、後嵯峨后吉子母、〉九十に満ち給へば、御賀の事大宮院〈◯吉子〉おぼし急ぐ、〈◯中略〉二十九日〈◯二月〉の夜、まづ行幸〈◯後宇多〉あり、〈◯中略〉あかずなごり多くおぼさるれど、春の官召、御灯などいふ事どもあれば、行幸はこよひ帰らせたまふ、