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太平記

越後守仲時以下自害事
夜明ければ、越後守仲時、篠原宿お立て、仙蹕お重山の深きに促し奉る、都お出し昨日迄は、供奉の兵二千騎に余りしかども、次第に落散けるにや、今は僅に七百騎にも足ざりけり、〈◯中略〉鸞輿跡に連りて番場峠お越んとする処に、数千の敵道お中に夾み、楯お一面に並、矢さきお汰て待懸たり、