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太平記
三十七
新将軍京落事
公家〈◯後村上〉の大将には、〈◯中略〉武将には、石堂刑部卿頼房、細川相模守清氏、〈◯中略〉十二月三日、〈◯康安元年〉住吉天王寺に勢調へおすれば、〈◯中略〉かくては合戦はか〴〵しからじ、先つ京お落てこそ、東国北国の勢おも待めとて、持明院の主上〈◯後光厳〉おば警固し奉り、同八日の暁に、宰相中将殿、〈◯足利義詮〉苦集滅道お経て、勢多お通り、近江の武作寺へ落給ふ、