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栄花物語
三様々の悦
永延二年になりぬれば、正月三日、いん〈◯円融〉にぎやうかう〈◯一条〉ありて、みや〈◯母后藤原詮子〉もおはしませば、いとヾしうものヽぎしきありさままさりて、心ことにめでたし、みかどの御ありさま、いみじううつくしげにおはしますお、いんいとかひあり、えもいはずみたてまつらせ給、御ふえおぞ御こヽろにいれさせ給へれば(○○○○○○○○○○○○○○○○○○)、ふかせたてまつらせ給て(○○○○○○○○○○○)、いみじうもてけうぜさせ給、いんの御かたには、みかどの御おくり物や、みやのおほんおくりものやなど、さま〴〵にせさせ給へり、かんだちべてんじやう人の御禄など、すべてめもあやにおもしろくせさせ給へり、おほんめのとのないしのすけたちや、なべての命婦蔵人、みやの御かたの女ばう、すべてしものかずにもあらぬ衛士仕丁まで、みなしなじな物給はせたり、又院司かんだちべや、さべき人々よろこびせさせ給へり、