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増鏡
十一今日の日蔭
乾元元年六月十六日、亀山殿へ行幸〈◯後二条〉あり、法皇〈◯後宇多〉いとめづらしくうつくしと見たてまつらせ給、あか月帰らせ給ぬる後、法皇より内に聞えさせ給、
 したはるヽ名残にたえず月お見れば雲のうへにぞ影はなりぬる
御かへし、内のうへ、
 君はよし千とせのよはひたもてればあひみむことのかずもしられず