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増鏡
九草枕
新院、〈◯亀山〉二月七日、〈◯文永十一年〉御幸はじめさせ給(○○○○○○○○)、大宮院〈◯母后吉子〉のおはします中御門京極実俊の中将の家へなる、御直衣から庇の御車、上達部殿上人残りなく、うへのきぬにてつかうまつらる、おなじ十日、やがて菊のあじろ庇の御車たてまつりはじむ、此たびは御えぼうしなおし、おなじ院へまいり給、同廿日、布衣の御幸はじめ(○○○○○○○○)、北白川殿へ〈◯後高倉后〉いらせ給ふ、八葉の御車、萌木の御狩衣山吹の二御ぞ、紅の御ひとへ、うす色のおり物の御さしぬきたてまつる、