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大和物語

亭子の帝〈◯宇多〉の御供に、おほきおとヾ、〈◯藤原忠平〉大井につかうまつり給へるに、紅葉小倉山に色々いとおもしろかりけるお、かぎりなくめでたまひて、行幸もあらんにいとけうある所になん有ける、かならずそうしてせさせ奉らんなど、申給ひてついでに、
小倉山峰の紅葉心あらば今一たびのみゆきまたなん、となん有ける、かくてかへり給ひてそうし給ひければ、いとけうあることなりとてなん、大いの行幸といふ事(○○○○○○○○○)はじめ給ひける、
◯按ずるに、此文に拠れば、大井河の御幸は、宇多法皇に始れるが如し、