[p.0739]
続世継
四宇治の川瀬
後の二条殿〈◯藤原師通〉の御つぎには、ちかくふけ殿〈◯藤原忠実〉とておはしましヽ、〈◯中略〉はじめは宇治のかはせなみしづかにて、白河の水へだてなくおはしましヽかば、ふけ殿つくり給て、院〈◯白河〉わたらせ給けるに、宇治川にあそびのふね、うたうたひて、なみにうかびなどして、いとおもしろくあそばせ給けり、盛定といひしおとこ、うたうたひ、その時こうたうなどいひしふねにのりぐして、うたつかうまつりけるとかや、そのたび人々に歌よませさせ給はざりけるおぞ、くちおしくなど申人もありける、かやうの所にわたらせ給て、なにとなき御あそびも、ふるきあとにもにぬ御心なるべし、