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神皇正統記
鳥羽
鳥羽院、〈◯中略〉天下お治め給ふ事十六年、太子にゆづりて尊号あり、白河代おしらせ給ひしかば、新院とて、所々の御幸にも、おなじ御車にてありき、雪見の御幸の日、御烏帽子直衣にふかぐつおめし、御馬にて本院(○○○○○○)〈◯白河〉の御車のさきにまし〳〵ける(○○○○○○○○○○○○○)、世にめづらかなる事なれば、こぞりてみ奉りき、むかし弘仁の太上皇、〈◯嵯峨〉嵯峨の院にうつらせ給ひし日にや、御馬にて都より出させまして、宮城の内おもとほらせ給へりと雲事見え侍りし、かやうの例にやありけん、