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続世継
二白河の花宴
いづれのとしにか侍けん、雪の御幸(○○○○)せさせ給しに、たび〳〵はれつヽけふけふときこえけるほどに、にはかに侍りけるに、西山ふなおかのかた御らんじめぐりて、法皇〈◯白河〉も院〈◯鳥羽〉も、みやこのうちにはひとつ御車にたてまつりて、新院御なおしに、くれないのうち御ぞ、いださせ給て、御むまにたてまつりけるこそ、いとめづらしくえにもかヽまほしく侍けれ、二条の大宮の女房、いだし車に菊もみぢの色々なるきぬどもいだしたるに、うへしたにしろききぬおかさねてぬひあはせたれば、ほころびはおほく、ぬひめはすくなくて、あつきぬのわたなどのやうにてこぼれいでたるが、きくもみぢのうへに、雪のふりおけるやうにて、いつくるまたてつヾけ侍けるこそ、見所おほく侍りけれ、