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吉野拾遺

正平壬辰年の春、旧都の主上〈◯崇光〉本院〈◯光厳〉新院〈◯光明〉ともにとらはれ人とならせ玉ひて、此山にいらせ給へるに、黒木の御所のあさましきに、なほそのほかにうばらからたちお、ひまなく植たるうちに押こめ奉る、まことにみるめもいとかなし、