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増鏡
十三秋のみ山
おりいの御門〈◯花園〉は、御このかみの本院〈◯後伏見〉と、ひとつ持明院殿にすませ給、もとより御子のよしにておはしませば、まいてひとつ院のうちにて、いさヽかもへだてなく聞えさせ給、いとおもふやうなる御ありさまなり、さるべき御中といへども、むかしもいまも御腹などかはりぬるは、いかにぞやそば〳〵しき事もうちまじり、くせあるならひにこそあるお、この院の御あはひ、まめやかにおもほしかはしたる、いとありがたうめでたし、