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附追尊天皇〈私称天皇併入〉
追尊天皇とは、生時未だ嘗て帝位に在らずして、去世の後に帝号お上られし者お雲ふ、此帝号には、天皇の、御父お尊び給ふより出づるあり、或は禍祟お畏れ給ふに由りて起るあり、又其号にも諡あり、居所お以て称するあり、之お概するに、皆御父子の間なるお明治の昭代に当り、数世の後より、典仁親王お諡して慶光天皇と称したまひしが如きは、追孝の特例なり、追尊天皇は、大鏡に拠るに、即ち贈太上天皇なるが如し、
私称天皇とは、摂政の皇后皇女、及び有功の皇子等お、後世より其威徳お欣慕するの余に、私に天皇と称するお雲ふ、厩戸皇子お上宮法王と称せしが如きは、当世の事にはあれど此類なり、