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続世継
二鳥羽の御賀
鳥羽院、〈◯中略〉かくてつぎのとし〈◯永治元年〉御ぐしおろさせ給き、御とし四十にだにみたせ給はねども、としごろの御ほいも、又つヽしみのとしにて、年頃は御随身などもとヾめさせ給て、ぐせさせ給はねども、白河のおほいのみかどヾのヽむかひに、御堂つくらせ給て、くやうせさせ給に、兵仗かへし給はらせ給て、めづらしく太上天皇の御ふるまひなり、うちつヾき八幡賀茂など御幸ありて、三月十日ぞ鳥羽殿にて御ぐしおろさせ給、すこしも御なやみもなくて、かくおもほしたつ事お、よの人なみだぐましくぞ思ひあへる、御名は空覚とぞきこえさせ給し、