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続世継
二釣せぬ浦々
白河院、〈◯中略〉位におはしましヽ時は、中宮〈◯賢子〉の御事なげかせ給て、おほくのみだうどもつくらせ給き、院ののちは、その御むすめの郁芳門院〈◯媞子〉かくれさせ給へりしこそ、かぎりなくなげかせ給て、御ぐしもおろさせ給しぞかし、四十五六の程にやおはしましけん、御なげきのあまりに、世おばのがれさせ給へりしかども、御受戒などはきこえさせ給はで、仏道の御名などもおはしまさヾりけるにや、教王房ときこえし山の座主、御いのりのさいもんに、御名の事申されけるに、まだつかぬとおほせられければ、その心おえはべりてこそ、申あげ侍らめと申されけるとかや、