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承久軍物語

八日〈◯承久三年七月〉一院、〈◯後鳥羽〉御出家あそばすべきよし、六波羅より申入ければ、則御室の道助法親王おめされて、御戒の師として、御飾おおろさせおはします、忽に花の御姿おかへさせ給ひて、墨染の御衣おめさるヽにも御涙にぬるヽ許なり、すなはち御姿おにせえにうつさせ、信実おめして七条院〈◯後鳥羽母后〉へ奉らせ給ければ、女院は御覧じもあへず、御めもくらませ給ふここちし給ふ、