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古今著聞集
十三哀傷
花山院、〈◯中略〉世おそむかせ給事のおこりいとあはれにかなし、法住寺相国〈◯藤原為光〉の御むすめ、弘徽殿の女御とてさぶらはせ給けるが、限りなく御心ざし深かりけるに、おくれさせ給て御歎き浅からず、世中心細くおぼし乱れたりける比、粟田関白、〈◯藤原道兼〉いまだ殿上人にて蔵人弁と申けるが扇に、妻子珍寳及王位、臨命終時不随者といふ文お書て、もたれたりけるお御覧ぜられけるよりこそ、いとヾ御心おこりにけれ、