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増鏡
二新島守
中院〈◯土御門〉は、始よりしろしめさぬ事なれば、〈◯承久の乱お謂ふ〉あづまにもとがめ申さねど、父の院〈◯後鳥羽〉遥に移らせたまひぬるに、のどかにて都にてあらん事いと恐れありとおぼされて、御心もて其年〈◯承久三年〉閏十月十日、土佐の国はたといふ所に渡らせたまひぬ、〈◯中略〉せめて近き程に〈◯に下恐脱と字〉あづまより奏したりければ、後には阿波国に移らせ給ひにき、〈◯中略〉おりさせたまひて〈◯後鳥羽〉後も、土佐院十二年、〈◯下略〉