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古事記伝
二十三
所知初国は、波都久邇斯羅志斯(はつくにしらしし)と訓り、此称辞は、後の御世に至て申せし言なるべし、其御世と雲、又大御名おも申せるなど、当御世に申せる物とは聞えざればなり〈◯中略〉さて此は師〈◯加茂真淵〉の神武天皇お如此称申して、〈◯事見上文〉更に又此にも如此申せる故は、是より先にはいまだ服はざりし遥の国々まで、初て皇化のゆきたらはして、天下悉く大平ぬる御世なればなりといはれしが如し、