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栄花物語
九石蔭
寛弘八年六月廿二日のひるつ方、あさましうならせ給ぬ、〈◯一条、中略、〉かくて八日〈◯七月〉のゆふべ、いはかげといふ所へおはしますぎしきあり、〈◯中略〉おはしましつきては、いみじき御有様と申つれど、はかなき雲霧とならせたまひぬるは(○○○○○○○○○○○○○○○○)、いかヾはあはれならぬ、長き夜といへどはかなうあけぬれば、暁がたには御骨など、そちの殿〈◯藤原伊周〉などとらせ給て事はてぬれば、大蔵卿正光朝臣おひ奉りて、帰らせ給ほどなどいみじうかなし、