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嵯峨覧勝志
蓮華峯寺陵、後宇多法皇、正中元年六月廿五日、大覚寺殿にて崩ず、此山に葬奉る、昔時陵園営構美お尽せりと、此辺麓の甫までも、廻廊の礎石古瓦、土に埋れて猶存せり、陵門廻垣は皆田甫にすたれ、御塔の砌までも、樵夫の往来となれるぞ最かなしき、近き比まで八角の小堂もて御塔お蔭ひしと見え侍りて、俗みな八角堂と呼べり、近世わづかに松の屋お構て、数歩の内おかこへり、