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二老略伝
柳沢氏、広沢〈◯細井知慎〉先生に武備お任ず、〈◯中略〉添るに天下の寺社の事お司らしむ、天下大小となく柳沢氏に帰す故なり、時に朝廷上古の諸陵、乱世お経し故やらん大に廃し、其処お失ひ、其号名おも失ひ、破たる御陵などお鬼陵などヽ号し、農民穢すもの多し、広沢先生其兄細井甚蔵〈芝山の号〉是お歎じ、広沢先生おして公に告て、此時より初めて諸陵周垣の絶たるお継、廃たるお起したる事挙て数ふべからず、諸陵周垣の記あり、九皐先生〈◯知慎子知文〉家蔵なり、