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栄花物語
三浦々の別
宮の御前〈◯一条后定子〉の御内参りのこと、そヽのかし啓しつるにぞ、思したヽせ給へる、明順道順よろづにそヽぎ奉る、国々の御封(○○○○○)などめし物すれど、ものすかやかに弁へ申人もなければ、さるべき御荘などぞ(○○○○○○○○○)、絹奉らせんなど(○○○○○○○)案内申人ありければ、きぬめしてよろづにいそがせ給ふ、〈◯中略〉中宮には、三月ばかりにぞ御子生れ給べき程なれば、御慎みおよろづに思せど、殊に御封(○○)などすが〴〵しう弁まへ申人なし、内蔵づかさより(○○○○○○○)、例のさま〴〵の御具どももてはこび(○○○○○○○○○○○○○○○○)、女院などよりも、万おぼしはかり聞えさせ給へば、それにて何事もいそがせ給ふ、