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続世継
一初春
む月〈◯長暦元年〉の七日、関白左のおとヾ〈◯藤原頼通〉とて、宇治のおほきおとヾおはしまし、女御たてまつらせ給、みかど〈◯後朱雀〉の御あにヽおはしましヽ式部卿〈◯敦康親王〉の御子の女ぎみ〈◯嫄子〉の、むらかみの中つかさの宮〈◯具平親王〉の御むすめの御はらにおはせしお、関白殿御子にしたてまつり賜て、女御に奉り給へるなり、一条院の皇后宮〈◯定子〉のうみたてまつり給へりし一の御子におはしませば、春宮にもたち給べかりしお、御うしろみおはしまさずとて、二のみこにてせむだい、〈◯後一条〉三のみこにてこのみかど〈◯後朱雀〉ふたりみだうのむまご、関白の御おひにおはしませば、うちつヾきつかせ給へるなり、かの一条院の皇后宮は、御せうとのうちのおとヾ〈◯藤原伊周〉の、つくしにおはしましヽ事どもにおもほしなげかせ給て、御さまかへさせ給へりしのちに、式部卿の御子おうみ奉らせたまへるなり、〈◯中略〉その式部卿の御子の御むすめにおはしませば、みかどにはめひにあたらせ給へり、かくてやよひのついたちに、きさきにたヽせ給ぬ、