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栄花物語
三様々の悦
今年おば正暦元年といふ、正月五日内〈◯一条〉の御元服せさせ給ふ、〈◯中略〉二月には内大臣殿〈◯藤原道隆〉の大姫君、〈◯定子〉内へ参らせ給有さまいみじうのヽしらせ給へり、〈◯中略〉やがて其夜のうちに女御にならせ給ひぬ、〈◯中略〉かヽる程に大殿〈◯藤原兼家〉の御心ちなやましうおぼしたれば、〈◯中略〉五月八日出家せさせ給、この日摂政の宣旨内大臣殿かうぶらせ給、〈◯中略〉摂政殿御けしき給はりて、まづ此女御、后にすえ奉らんの騒ぎおせさせ給ふ、〈◯中略〉六月一日后にたヽせ給ひぬ、