山槐記

応保二年二月五日壬寅、〈◯中略〉予出仗座著膝突、仰雲、中宮〈◯二条后姝子〉院号定申、右府〈◯藤原基房〉小帰出、次右府被示座中、次自下次第定申、
　白河院御所、為三条坊門末、付御所可申坊門院之由、被申之人々、
　　右大臣　内大臣〈◯藤原宗能〉　新藤中納言〈◯俊通〉　土御門宰相
　当時雖無御所、以御領為其号例也、且立后之時為御所、可申高松院由被申人々、
　　中宮大夫〈◯源雅通〉　権大夫〈◯藤原実長〉　宰相中将〈◯藤原実国〉
　可申殷富門院、安嘉門院之由被申人、
　　権中納言
　高松院、坊門院之間可在勅定之由申人、　　大宮宰相〈◯藤原公保〉
　可申殷富門院之由申人
　　左大弁〈◯藤原資長〉
次令官人召予、予著軾、
　右府各可之由示人々、仍次第被申、此度右府被申坊門院之由、先定度至于内府被申之、右府不被申、今度被仰予也、
次予奏聞、〈主上此間御石灰壇上〉仰雲、可触前関白者、〈◯中略〉
次又奏聞、此間仰雲、又可触前関白、
次参大殿付高佐申、此間令申雲、高松院可宜候、
次帰参又奏聞、仰雲、其旨可仰者、重奏雲、御封以下事任例可仰下歟、仰雲、定事歟、予奏雲、例事、仍仰雲、早可仰下、
次出仗座仰雲、〈停中宮職為高松院、改進属為判官代主典代、年官年爵、御季御服、御封雑物等如元、可停内膳御飯、〉
　右府被揖、予退入、〈◯中略〉
女院四人無其例、今始有之、
　当時　皇嘉門院〈◯崇徳后聖子〉上西門院〈◯二条准母統子〉八条院〈◯鳥羽皇女章子〉高松院〈已上四后〉
当時后院号無其例
東三条院以後、或母儀、或先帝后等也、而近代(○○)以(○)院号(○○)為(○)貴(○)歟(○)、仍被計行歟、雖当時后、又為后之故歟、先日此事所被問人々也、女御依可有立后、門院号、
　高松号、内府後日被命曰、以木名為院号、太無謂事也、謂枇杷殿、不号枇杷院、謂桂殿、未号桂院、不快事也、又被命雲、高松殿、経家卿以後、美福門院之外、其主不宜也、