台記別記

久安四年八月十四日己巳、今日補両三位家司以下、〈妻三位唯有家司而已、◯中略〉
仰書様
　　　従四位下行尾張守藤原朝臣親隆
　　　散位従五位上藤原朝臣敦任
　　　散位従五位下藤原朝臣憲親被仰称、件等人、宜為三位御方〈◯藤原多子〉別当者、
　　久安四年八月十四日、別当従四位下行尾張守藤原朝臣親隆〈奉、〉
　　　散位従五位下藤原朝臣顕方
　　　散位従五位下藤原朝臣頼方
　　　散位従五位下藤原朝臣盛憲
　　　散位従五位下藤原朝臣憲親
被仰称、件等人、宜為三位方侍所別当者、
　　久安四年八月十四日、別当従四位下行尾張守藤原朝臣親隆〈奉、〉
　　　蔭孫正六位上藤原朝臣憲頼
被仰称件人宜為三位方侍所勾当者、
　　久安四年八月十四日、別当従四位下行尾張守藤原朝臣親隆〈奉、〉
　　　正六位上行右衛門志佐伯宿禰義仲
　　　右弁官史生従七位上紀朝臣俊元
　　　　　已上可為知家事、
　　　正六位上行大炊少允高階朝臣行則
　　　右弁官史生従七位上伴朝臣久兼
　　　右官掌従七位上紀朝臣重兼
　　　　　已上可為案主
被仰称件等人、宜令従三位方政所事者、
　　久安四年八月十四日、別当従四位下行尾張守藤原朝臣親隆〈奉、〉廿三日戊寅、重奏法皇〈◯鳥羽〉曰、諸国所課自院充催得其宜、私充催非無所恐、亦諸国吏不受命焉、手詔曰、先例諸国所課、自本家充催、供奉人自院催之、〈指大治歟〉今度何以異彼、先自家充催、其吏不受命者、自院可催者、信範伝女院仰曰、先日所借之後儀可借給者、報啓恐悦之状是余無後儀、故入内経営之間所借申也、
◯按ずるに、多子未だ女御の宣旨お蒙らずと雖ども、久安四年七月已に入内せしお以て、此任命ありしものなれば此に掲ぐ、