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栄花物語
三十四晩待星
其頃〈◯後朱雀〉いせのたくせんなどいひて、藤氏のきさきおはしまさぬあしきことなりとて、うちおほとの〈◯藤原教通〉の御くしげどの〈◯生子〉まいらせ給べしといふこといできて、七月ついたちごろといそがせ給ほどに、六月廿七日〈◯長暦三年〉うちやけぬ、〈◯中略〉はかなく月日もすぎて、うちおほとのヽみくしげどの、しはすにまいらせ給ふ、宮の御こと〈◯中宮嫄子崩〉のほどなきになどとの〈◯頼通〉はおぼしめしたり、ことしぞ廿六にならせ給ける、としごろいつしかとおぼしめしける御ことにて、との御こヽろおつくさせ給へり、