栄花物語
十日蔭の蘿
さて世中には、けふあすきさきたヽせ給べしとのみいふは、かんのとの〈◯妍子〉にや、またせんようでん〈◯娀子〉にやとも申めり、かヽるほどに宣耀殿に、うち〈◯三条〉より、
はるがすみのべにたつらんと思へどもおぼつかなさおへだてつるかな、ときこえさせ給へれば、御かへし、
かすむめるそらのけしきはそれながらわがみひとつのあらずもあるかな、ときこえさせ給へれば、あはれとおぼしめさる、
はるがすみのべにたつらんと思へどもおぼつかなさおへだてつるかな、ときこえさせ給へれば、御かへし、
かすむめるそらのけしきはそれながらわがみひとつのあらずもあるかな、ときこえさせ給へれば、あはれとおぼしめさる、