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嘉喜門院御集
けんとく二年なが月の末つかた、びはの大なる枝に、つたの紅葉のかヽりたりしおわきてそめけるも、なにとなく御めとまる心ちしてとて、女御殿〈◯後亀山后某〉よりまいらせられたりし御返事に、
君がはや秋の宮井にうつるべきほどおもみぢの色にこそしれ
 ◯按ずるに、此歌また新葉和歌集に載せて、其端書に、中宮女御にておはしましける比、紅葉の枝お奉らせ給たりければと見えたり、