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栄花物語
一月の宴
又在衡のあぜち大納言のむすめ、あぜちの御息所〈◯村上更衣〉とてさぶらひ給ふ、小一条の師尹のおとヾの御むすめ、〈◯芳子〉いみじううつくしくて、宣耀殿のにようご〈◯村上〉ときこえさす、又広幡の中なごん広明のおほんむすめ、広幡のみやすどころ〈◯村上更衣計子〉とておはす、さてもこのおほんかた〴〵、みな御子むまれ給へるもあり、御子むまれ給はぬ御息所たちもあまたさぶらひ給ふ、
 ◯按ずるに、古説に女御更衣の御子お生めるものお御息所と雲ふとあれども然らず、本文に依るに、御子生れ給はぬおも御息所と称せり、