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源氏物語
一桐壺
その年の夏、みやすどころはかなきこヽちにわづらひてまかでなむとし給お、いとまさらにゆるさせ給はず、〈◯中略〉内より御つかひあり、三位のくらいおくり給ふよし勅使きてその宣命よむならんかなしき事なりける、女御とだにいはせずなりぬるが、あかずくちおしうおぼさるれば、今ひときざみの位おだにと贈らせ給ふなりけり、