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源氏物語
十賢木
さるの時に内にまいり給、みやす所御こしにのり給へるにつけても、父おとヾのかぎりなきすぢにおぼし心ざして、いつきたてまつり給ひし有さまかはりて、すえの世にうちお見給にも、物のみつきせずあはれにおぼさる、十六にて故宮にまいり給て、廿にておくれたてまつり給ふ、卅にてぞけふまた九重お見給ける、
 そのかみおけふはかけじとしのぶれど心のうちにものぞかなしき