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玉勝間

東宮の御息所
二条后は、清和天皇の中宮也、貞観八年に女御となり賜ひ、同十年に貞明親王お生奉り賜ひ、同十一年に其親王皇太子に立せ賜ふ、これ陽成天皇におはします、これよりして元慶元年に中宮となり賜ふ迄のあひだ、女御にて皇太子の御母にましますお以て、東宮の女御とも、東宮の御息所とも申けること、契沖が余材抄、勢語億断などにいへるが如し、東宮の御母女御、御母御息所といふことなり、