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古事記伝
二十六
漢国にて、王の位お嗣ぐべく定めたる子お皇太子と雲、故に其字お取て日嗣御子に用ひたるなり、さるは遂に御位お嗣坐が、其御子等の中にて、元来も然定置賜へる物なれば、彼皇太子よく当りたれども、彼は元より一人に限りて定めたる称、此は一柱には限らざる御称なるは同じからず、異なることあり、さればひたぶるに太子の字には泥むべからず、上代のさまおよく考ふべきなり、