[p.1360]
増鏡
三藤衣
ことしもはかなくくれて貞永元年になりぬ、〈◯中略〉こぞの二月、后の宮の御はらに一の御子〈◯四条〉いでき給へりしかば、やがて、〈◯十月二十八日〉太子にたヽせ給しぞかし、れいの人のくちさがなさは、かの承久の廃帝〈◯仲恭〉のむまれさせ給ふとひとしく坊にい給へりしは、いとふようなりしおなどいふめり、