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落窪物語

わかんとほりばらの君(○○○○○○○○○○)とて、母もなき御むすめおはす、
◯按ずるに、わかんとほりは、河海抄に王家無等倫の字音にて王孫お雲ふと雲ひ、閑田耕筆に王家統〈天子の御系といふことなり〉と雲ひ、和訓栞に和漢通りの義也と雲ひ、黒川春村の北史国語考に稚子御統(わこみどほり)の義なるべしと雲ひ、古来諸説一様ならずと雖、其皇族お雲ひしこと明なり、わかんとほりばらとは、其母の皇族なるお雲へるなり、