[p.1436]
禁中方御条目十七箇条
一、三公之下親王、其故者右大臣不比等、著舎人親王之上、殊舎人親王、仲野親王、贈太政大臣、穂積親王准右大臣、是皆一品親王以後、被贈大臣時者、先三公之下可為勿論歟、親王之次前官之大臣、三公在官之内者、雖為親王之上、辞表之後者、可為次座、
◯按ずるに、公卿補任に刑部親王、穂積親王、知太政官事たる間は、三公の下に列す、されども続日本紀お見るに、親王は皆三公の上に列せり、不比等の舎人親王の上に著くと雲へるは誤なり、補任に、養老四年右大臣藤原不比等、〈八月三日薨〉知太政官事舎人親王〈八月四日任〉と見えたれば、不比等の薨後に任ぜられしものなり、二品仲野親王は宇多天皇の御外祖なり、一品太政大臣お贈られしなり、二品穂積親王の右大臣に准ぜられしは、季禄お右大臣に准じて賜ひしなり、要するに、此条目は深く典故お考究せざるなり、