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続世継
八腹々の御子
仁和寺に覚行法親王ときこえたまひしは、白河の院のみこにおはす、御ぐしおろさせ給て、やう〳〵おとなにならせ給ほどに、いとかひ〴〵しくおはしければ、さらに親王の宣旨かぶり給とぞきこえ侍りし、おほ御むろとておはしましゝは、三条院の御子師明親王ときこえ給し、まだちごにおはしまして、御子の御名えたまひければ、法師のゝちも、親王のせんじかぶり給はず、その宮につけたてまつりたまひしに、御でしのみや〈◯覚行〉はわらはにても、親王の御名えたまはねども、親王のせんじかぶり給へり、御二条のおとゞ〈◯藤原師通〉出家の後は、例なきよし侍りけれども、白川院、内親王といふこともあれば、法親王もなどかなからんとて、はじめて法師ののち、親王ときこえ給しなり、かくてのちぞうちつゞき、いづくにも出家の後の親王きこえ給める、