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平家物語

いつくしま御幸の事
治承四年二月廿一日、主上〈◯高倉〉ことなる御つゝがもわたらせ給はざりしおおしおろし奉りて、〈◯中略〉東宮〈◯安徳〉せんそ有しかば、入道〈◯平清盛〉相国夫婦共に外祖父外祖母とて、准三ぐうのせんじおかうむり、年官年爵お賜はりて、上日の者お召つかひ、えかき花つけたる者共出入て、ひとへに院宮のごとくにてぞ有ける、出家の人の准三后のせんじおかうぶる事は、ほうごう院の大入道殿かね家公の外は、是はじめとぞ承はる、