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台徳院殿御実紀
六十
元和九年七月廿七日、公〈◯徳川秀忠〉は此日より天下お御譲与まし〳〵、御みづからは大御所と称し奉る、〈◯中略〉御隠退前後十年にして、寛永九年正月廿四日亥刻、西城の正寝にして薨じ賜ふ、御寿五十四なり、〈◯中略〉二月廿九日勅使参向ありて、台徳院殿と勅諡せられ、正一位お贈らせらる、主上〈◯明正〉は太上天皇の尊号お御追贈あらまほしき叡慮おはしけれど(○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○)、御平常御謙巽の御志ふかくまし〳〵けるゆえ(○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○)、こなたよりはかたく御辞退ありければ(○○○○○○○○○○○○○○○○○)、先正一位にのぼせ給ひけるとぞ聞えし、