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大鏡
三太政大臣忠平
このおとゞ、これ基経のおとどの四郎君、御母本院の大臣、〈◯時平〉びはの大臣〈◯仲平〉におなじ、このおとゞ〈◯中略〉よおしらせたまふ事廿年、〈◯中略〉のちのいみな貞信公となづけたてまつる、〈◯中略〉三人の大臣〈◯忠平子、実頼、師輔、師尹、〉たちのまいらせ給ふれうに、小一条のみなみ、かでのこうぢには、いしだゝみおぞせられたりしが、まだ侍るぞかし、むなかたの明神おはしませば、洞院うしろのついぢよりおりさせ給ひしに、あめなどのふる日のれうとぞうけたまはりし、〈◯中略〉此貞信公は宗像神明うつゝにものなど申たまひけり、我よりは御位たかくていさせ給へるなんくるしきと申たまひければ、いとふびんなる御事なるかなとて、神位は申まさせ給へるなり、