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神皇正統記
村上
わが国は神代よりのちかひにて、君は天照大神の御すえ国おたもち、臣は天児屋の命の御ながれ君おたすけたてまつるべき器となれり、〈◯中略〉上古には皇子皇孫おほくて、諸国にも封ぜられ、将相にも任ぜられき、〈◯中略〉然れど大織冠氏おさかやかし、忠仁公、政お摂せられしより、専ら輔佐の器としてたちかへり、神代の幽契のまゝになりぬるにや、閑院の大臣冬嗣、氏のおとろへたることおなげきて、善おつみ、功おかさね、神にいのり、仏に帰せられける、そのしるしも相くはゝりはべりけんかし、