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愚管抄

一条院うせさせ給ひて後に、御堂〈〇藤原道長〉は御遺物どものさた有けるに、御手箱の有けるお開き御覧じけるに、宸筆の宣命めかしき物おかゝせおはしましたりける、はじめに三光欲明䨱重雲大精暗とあそばされたりけるお御らんじて、次ざまお読せ給はで、やがて巻こめて焼あげられにけりとこそ、宇治殿〈〇道長子頼通〉は隆国〈宇治大納言〉には語らせ給ひけると、隆国はしるして侍なれ、