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愚管抄

九条殿〈〇藤原兼実〉は、摂籙本意にかなひて物もなかりし、興福寺南円堂の御本尊不空羂索等、丈六仏像、大伽藍、東大寺とはなほ並べて作られけり、同〈〇建久〉五年九月廿二日興福寺供養也、甚雨なりけり、前の日殿は春日詣せられけり、中納言以下騎馬と聞えき、御堂〈〇道長〉の御時より始まれる例にや、あまりなる事なりと人思ひけり、