古事記伝

十五

天之八重多那雲、書紀に、且排分天八重雲とあり、出雲国造神賀詞に、天能八重雲乎押別氐、万葉二〈二十七丁〉に、天雲之八重掻別而、〈一雲、天雲之八重雲別而、〉十一〈二十八丁〉に、天雲之八重雲隠など見えたり、〈又二に、天雲之五百重之下爾、下とは裏お雲、十に、白雲五百重などもあり、◯中略〉伊都能知和岐知和岐氐、〈◯中略〉書紀に、稜威之道別道別而、大祓詞に、天之八重雲乎、伊頭乃千別爾千別氐、天降依左志奉支、〈遷却崇神祝詞にもかくあり〉また天津神波、天磐門乎押披氐、天之八重雲乎、伊頭乃千別爾千別氐所聞食武ともあり、〈◯中略〉天(　の)浮橋〈◯中略〉続後紀、興福寺僧等が長歌に、茜刺志あかねさし、天照国乃あまてるくにの、日宮能ひのみやの、聖之御子曾ひじりのみこぞ、狐葛ひさかたの、天能梯建あまのはしたて、践歩美ふみあゆみ、天降利坐志々(あもりましゝ)とよめり、