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源平盛衰記
三十三
源平水島軍事寿永二年閏十月一日、水島にて源氏と平家と合戦お企つ、〈◯中略〉城の中よりは、勝鼔お打て哼懸る程に、天俄に曇て、日の光も見えず、闇の夜の如くに成たれば、源氏の軍兵共、日蝕とは不知、いとヾ東西お失て、舟お退て、いづち共なく、風に随つて遁行、