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八雲御抄
三上天象
月〈ひさかたとつヾくるは、一切天物おつヾくるならひなり、〉 あまてる月 ますかヾみ〈ますかヾみてるべき月と、人丸集にあり、〉 しらまゆみ〈万、しらまゆみはりてかけたるといへり、〉 月人おとこ かつらおとこ さヽらえおとこ 月よみおとこ〈たヾ月よみとも〉 これらみな月の名也 月ゆみ かつらのはな〈◯中略〉 橘のたまぬく月〈万〉 よがくれにいでける月〈万◯中略〉 入きはの月〈源氏〉 月のかほ〈同〉 霜曇り〈万〉 三日月 ゆふつくよ〈夕月〉 もち かたわれ ありあけ月よ あかねさすてれる月よ 夜わたる ゆふつくよ あかつきやみといふは〈夕月のころは、暁やみとなる也、〉 ひさかたの 夜わたる月と雲事 基俊難之、夜字隔中雲々、〈但古今に多也〉